e-パワートレイン

大気汚染や石油供給への関心が高まっていることから、自動車の電動化は日々加速しています。電気およびハイブリッド電気(EV/HEV)自動車の開発は、急速に変化する環境において、自動車メーカーの競争力を維持するため、大多数の車両メーカーが取り組んでいます。短い開発期間と相まって、電子部品への高まる依存と総合的な複雑さのため、EV/HEVの先行企業は、多くの設計課題に直面しています。また、自動車の研究開発部門は、電磁設計の制約に加えて、構造および熱の課題にも対処するため、何十万もの設計代替案に取り組まなければなりません。シミュレーション技術は、これらすべての要件に応え、パワートレイン技術の電化競争における重要な差別化要素です。当社は、複雑なEV/HEVパワートレインデザインに対して、性能と効率に大きな影響を与える広範囲のシミュレーションソリューションを提供します。

適用範囲

  • 電磁解析
    • EV/HEV 走行用モーターシミュレーション
    • 連成制御/回路シミュレーション
  • 熱減磁
  • 熱解析
    • モーター
    • インバーター
    • バッテリー
  • 構造解析
    • 耐久性・疲労解析
    • NVH(振動・騒音・乗り心地)解析

代表的な解析

誘起電圧、負荷トルク、コギングトルク、インダクタンス、磁束鎖交、損失(鉄、銅、磁石)、パラメータ感度、等価回路モデル抽出、発熱、温度分布、応力、振動、放射音、磁化、減磁、スキュー効果を計算します。

Power Inverter for Electric Vehicles

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電磁解析

1. EV/HEV 走行用モーターシミュレーション – モーターは費用が高額であり、多くの自動車メーカーは、自社モーター開発に多額の投資を行ってきました。しかしながら、EVは次世代カーの代表となりつつあり、当然のことながら、モーターおよび発電機の開発に対し、設計初期からプロセスの見直しが必要とされています。パフォーマンス指標の観点から、電気モーターの電力と効率は、自動車ブランドを競合他社よりも引き立たせる上で、重要な役割を果たします。今日の自動車エンジニアにとって、NVH(振動・騒音・乗り心地)・信頼性および耐久性に加えて、効率化・サイズおよび費用を含む最適化のニーズに対し、当社の走行用モーターシミュレーションは、非常に有益なソリューションです。モータ/発電機のFEA(有限要素解析)は、限られた開発期間で走行用モータ設計性能を開発し最適化することを可能にします。モータ設計における我々の蓄積した知識および経験により、様々な機械、流体力学、熱、電気および電磁要件が、要求を満たします。

2. 連成制御/回路シミュレーション – ハードウェア構築は、時間と多くの手順とガイドラインを必要とします。しかし、それらを回路モデルに接続し機械モデルを評価することは、DEPが提供する新しい方法です。回路シミュレーションプロセスは、実際のデバイスの挙動を再現することができ、プロトタイピング段階のずっと前に設計効率を見つけるのに役立つ貴重な解析ツールです。解析は、SimplorerおよびMATLAB/Simulinkなどのパワーエレクトロニクス・シミュレータにリンクすることで実行されます。連成シミュレーションは、有限要素法に基づいて開発しました。回路シミュレーションは、主に設計性能と効率を向上させるために考案されました。連成シミュレーションの結果を実証し、出力に応じた改良が提案されます。

熱解析

1. Motor Thermal Analysis – モーターの熱解析−温度は、電子機器の性能に影響を及ぼす重要な要因です。電子機械の熱設計は、絶縁破壊、提供されるトルクの減少、寿命の短縮などの問題に起因します。より小型でより効率的な電気モーターを開発するためには、従来の電磁設計と並行して、より多くの熱解析を実行する必要があります。電気モーターの熱解析は、電磁解析よりも、モデル構築と精度の点で、より困難な解析とみなされています。モーターの設計には、迅速で正確な製品開発に使用できるシミュレーションツールが必要です。モーター設計に数値流体力学(CFD)を採用することにより、それらは発展を加速し、より良いモータ冷却および高効率を達成することができます。部品、冷媒、大気への放熱量を把握するには、モーターの共役熱伝達(固体を含む熱流体解析)解析が有効です。最適化された流れ経路は、CFD結果に基づいて設計することができ、これは、モーターの寿命を改善するのに役立ちます。
モーターの熱解析手順は、以下の通りです。
– マイルド・ハイブリッド用3Dインダクション・モーター解析
– フルハイブリッド/EV用3D PMモーター
– システムシミュレーション用1D AMESIMモデル

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2. インバーターの熱解析 – パワーエレクトロニクスデバイスの信頼性および耐久性は、荷重と周囲条件に関連する動作温度に大きな影響を受けます。モーターを制御するインバーターは、十分に高い電力密度を保持する必要があります。 また、インバーターから発生する熱は、その素材や冷却構造により異なるため、広範囲の温度下での稼働が想定されます。モータと共に、インバーターの熱解析も行います。インバーターの熱解析は、構想段階からエネルギー効率にフォーカスできる重要なプロセスです。インバーターの設計は、冷却剤流れ経路の設計、材料選択、母線および電力モジュールの配置を含みます。インバーター上の共役熱伝達解析を用いることにより、冷却剤流れ経路およびフィンの設計を解析することができ、電力モジュールやヒートシンク(冷媒ジャケット)経路への熱源(母線)を、温度分布に基づいて設計することができます。
当社のインバーターに関するエンジニアリングサービスには、以下のものが含まれます。
– 電力モジュールの定常熱解析
– 熱インピーダンスに対する電力モジュールの非定常解析と、寿命推定のための熱インピーダンスと定常解析
– DC/AC母線と電子部品の連成熱解析
– 部品レベルの熱性能とフルインバーター

3. バッテリーの熱解析 – ハイブリッド電気自動車(HEV)、バッテリー電気自動車(BEV)およびプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)のような環境に配慮した車両の性能と実用性は、主に、上記の輸送手段のための発電所として作用するバッテリーパッケージの性能と効率性に関連します。バッテリーの製造プロセスにおける全ての解析と試験段階において、エネルギーを蓄えるのにより効率的で、かつ良好に反応するベストな部品を識別するため、多くの研究が行われています。電池の要求および制約は、用途に応じて変化し、これらの変化にかかわらず、電池の性能および寿命は、常に温度因子によって示されます。バッテリーの使用は、常に熱の発生や吸収の原因となります。したがって、熱解析段階での設計と実装を成功させることは、電池製造メーカーにとり極めて重要です。出力を正確に設定することで、原材料、セル設計、性能や寿命の設計を左右する部品など、バッテリーのあらゆる側面の影響を測定することができます。
当社の解析対象は、下記の通りです。
– 過充電
– 圧力降下と共役熱伝達
– センサー回路解析
– システムシミュレーション用1D AMESIMモデル

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構造解析

1. 耐久性と疲労解析 – 製品の主要な品質基準は、その平均寿命です。疲労と耐久性解析とは、来る日も来る日も稼働させて行う構造部品の試験です。この解析では、主に機械的物質の挙動が構造用マシン部品の設計にどのように影響するかを解説することを目的とします。 疲労および耐久性の解析は時間を要します。故障とは発展的な現象であることに加え、局部応力シナリオと、変動または使用荷重による影響を受けます。負荷は、ゆっくりとシステムを形成する部品の励振または挙動を反映するあらゆる物理量を指します。最も典型的な荷重は、力、トルク、応力、歪み、変位、速度、および加速度であり、他の種類の荷重は、液圧装置における圧力または流れ、回転速度、温度、さらに電子制御ユニットにおける状態変数値などです。コンピュータシミュレーションは、多くの労力およびエネルギーを必要とせずに、規定された時間内の周期的荷重中に部品がどれだけ良好に保持されるかを決定します。これらの計算には、材料、環境条件、および特定の制約に関するすべてのデータも組み込まれます。計算結果は、限られた時間内で信頼性のある動作を計算し検証する際の重要な情報です。寿命評価に対する当社のソリューションは、簡略化された荷重仮定による基本的なツールから、解析専任者をターゲットとする高度なアプリケーションに及びます。DEPの設計エンジニアによって行われる基本的な疲労および耐久性解析は、実際の荷重条件をシミュレートすることによって製品の設計不足または設計過多を回避するための精巧な応力分析を提供することができ、設計案および変更案を比較するときに有用です。最終的に、試験結果は、損傷が持続するまでの耐用年数を示します。

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2. NVH(振動・騒音・乗り心地)解析 – 広範な近代化により、音響と振動が環境と私たちに悪影響をもたらしています。騒音に対する意識の高まりと、聴覚障害、不快感、ストレス、およびトラウマなど騒音に関わる健康問題についての幅広い知識が、すべての工業製品の音源抑制に対する要求を駆り立てています。そのため、製品開発では、騒音・振動解析と呼ばれるカテゴリーができました。昨今の自動車業界は、自動車設計を、エンジンやドライブトレインではなく、”乗客の期待と体験”として特徴づけています。これらの注記により、NVH(振動・騒音・乗り心地)特性を含む多くの分野が、自動車業界において特に注目されています。騒音は望ましくない音であり、振動は常に感じられる揺れです。ハーシュネスは、一般に、望ましくない音および/または振動に関連する重大度および不快感を記述する際、使用されます。音質解析と呼ばれる正確なNVH(振動・騒音・乗り心地)は、音の大きさ、鮮鋭度、露出音量などの測定基準を含みます。その他の車両騒音や振動の実験評価は、音の側面で車両品質の改良過程を担い、基本的な開発目標を満たすため必要です。騒音・振動解析には、信号解析と並んで、機械や電子測定技術、センサ技術についての多分野アプローチと十分な理解が必要です。 騒音・振動解析には、信号解析と並んで、機械や電子測定技術、センサ技術についての多分野アプローチと十分な理解が必要です。より短い開発期間で、当社は製造メーカーが競合他社よりも製品における優位性を獲得することを可能にします。

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